木地 智美 kiji tomomi
2019/10/23
「そうこうしているうちに…」
「そうこうしているうちに霜降ですね…」
以前、一緒に仕事をさせていただいた気象予報士の先輩(少し年配)の毎年恒例のギャグでした。
今年もこの時期になったかぁ…ギャグで秋の深まりを感じていました。懐かしい。
さて、二十四節気の「霜降(そうこう)」は、
朝晩の冷え込みが強まり、霜が降り始めるころで、今年は10月24日です。
富山(富山市石坂の富山地方気象台で観測)の初霜の平年日は11月20日なので、
霜降に霜が降りるわけではありませんが、
このころになると、朝晩の寒さが身に染みるようになってきて、
街路樹も冬支度を始めます。
でも…今年も秋の深まりはゆっくり。
気温は平年より高く、長袖で歩くと汗ばむような日もあり、霜なんて降りる気配なし。
昔から、季節の移り変わりや農作業の目安にされていた二十四節気や七十二候ですが、
現在とのずれが大きくなっているなぁ、と感じます。
立山の初雪も遅れました。
立山の初冠雪の平年日は10月8日ですが、今年の初冠雪は10月22日で二週間遅れ。
気象情報でお伝えする平年値。
現在使われているものは、1981年から2010年までの30年間の平均の値です。
ちょうど私が生まれたころからの30年。
その平年値も、「今」とのずれが大きくなってきました。
平年値は10年ごとに更新され、次は2年後の2021年に更新されます。
次の平年値は1991年から2020年までの平均の値になりますので、
気温が高くなるなど、今使っている平年値と大きく値が変わることになりそうです。
地球温暖化は、私たちの毎日の季節感をじわじわと変えながら、
甚大な気象災害をもたらす現象が増えるなど、暮らしに大きく影響し始めています。
雪化粧する立山、紅葉の木々、そんな晩秋の風景を眺めながら、
美しい自然とともに、人々の平和な暮らしが今後も変わらずありますように…と思うのでした。
↓気象デスクにて