BBTスペシャル
番組最新情報  2002年1月21日(月)放送(第109話)
「氷見獅子舞物語〜七分一・秋祭り〜」
富山県は獅子舞の伝承数がなんと全国一!
およそ1300もの獅子舞が各地に受け継がれています(1978年調べ)。
とりわけ氷見市では最も多くの獅子舞が伝承されています。
春は主に市街地・南部で 秋は上庄川流域の上庄谷で行われます。
しかし、獅子舞が盛んな氷見市でさえ
1983年からの14年間でおよそ20もの獅子舞が姿を消しました。
上庄川流域の七分一(しちぶいち)という地区では
毎年、秋祭り、七分一神社の獅子舞が行われます。
戸数63、人口およそ300人。上庄谷の中では最も小さな地区ですが
近隣に比べて若者の割合が高い特徴があります。

七分一では なんと!
夜通し村中の家一件一件を訪ね 獅子舞まわす風習があります。
去年9月14日の七分一の秋祭りに密着しました。


七分一の獅子舞は・・・

富山県の獅子舞は県東部では「二人立ち」、県西部ではカヤに数人が入る「百足獅子」が主流となっています。
氷見獅子の大きな特徴は天狗、烏帽子をつけ、長い棒を持つことなどが挙げられます。
一般にカヤは唐草模様ですが、七分一では紅いカヤ。これは氷見では他に2ヶ所しかなく 大変珍しいものです。

獅子舞にはいろんな演目がありますが七分一では「ギオンブリ」「ヒトアシ」「バンガエシ」等11の演目が伝承されています。それぞれ目的によって使い分けられます。

七分一では・・・
各家を訪れるとまず「ギオンブリ」で勢いよく駆け込んでいきます。そして簡単な「ヒトアシ」か「フタアシ」どちらか1つをまわします。
その後、団長が副団長2人を従えて家のご主人に挨拶。主人は「ハナ」と呼ばれる御祝儀を渡します。
そして副団長と「ハナ」の数や誰からの「ハナ」なのかを確認、主人は一升瓶のお酒をぐいっと一口頂きます。基本的には頂いた「ハナ」の数だけ獅子舞の演目をまわすルールです。
その時にまわす獅子舞を「ハナジシマイ」といいます。「タイショウブリ」「キョウブリ」「バンガエシ」など5つあります。
太鼓の音が合図となって獅子舞が始まり、まわし終えると団長・副団長は再び家の主人に挨拶をしてようやく終了。
この手順で63戸全ての家をまわります。去年はあいにくの雨模様、しかし、過去に雨で獅子舞が取り止めになったことはありません。

獅子舞は体力が勝負、まわし続けると結構疲れるものです。しかも夜通しとあっては尚更のこと。獅子舞御一行は休憩のため「ヤド」をとります。
毎年、団長や副団長の家が担当します。みんなに豪勢な食事やお酒などが振る舞われます。
このお礼に「ヤドガエシ」と呼ばれる獅子舞をまわします。これは「ハナジシマイ」の5つの演目から選択します。

お嫁さんが嫁いだ家では・・・
去年のお祭りから1年の間にお嫁さんが嫁いできたり、娘が嫁に行ったりした家では「ヨメバナ」とも呼ばれる「ヨソブリ」がまわされます。これは天狗が面をつけて舞う格式高い演目です。
天狗は手に鈴のついた「フサ」を持ちます1回に30分はかかる長い獅子舞。1人の天狗が囃子にあわせて勢いよく舞い続けると 誰でも酸欠状態になってしまいます。

夜も更けて・・・
疲れと眠気を通り越した夜明けに待っているのは祭りのフィナーレ「シシコロシ」
一番重要な演目です。天狗が剣を手に暴れる獅子に果敢立ち向かうストーリー。

天狗は剣という武器を持ちながらも獅子の底知れぬ恐ろしさに脅えています。
途中オカメとヒョットコの面をつけた「オドケ役」が面白可笑しくアドリブで場をつなぎ笑いが巻き起こります。これぞ祭りの原点。そしていよいよ祭りはクライマックスへと・・・天狗が剣を抜き獅子に斬りかかる!バサッ!天高く誇らしげに剣を振りかざす天狗。息も絶え絶えの獅子。

天狗は剣を鞘に納め、「終わった」と思います。ところが。獅子はなかなか死なないのです。
しっぽが「あっちへ行け」と天狗を追い払い、またまた闘ってみたり。
最後には天狗も獅子も担がれてどこかへ行ってしまうのです。なんとも不思議な「シシコロシ」。

今回も秋祭りにあわせて東京、大阪、岡山、金沢など県外から多くの若者が帰ってきました。
当日の授業が終わってから急いで電車に飛び乗った大学生もいます。
それぞれ口にすることは「七分一に生まれたことを誇りに思っている」「祭りが好きだから」「若いモンがやらんと。先輩にばかり任せておくわけにはいかない」・・・

年に一度の秋祭り。村に生まれた人々が顔を揃え、獅子舞をまわし、笑い、疲れ、心地よい祭りの楽しさを経験する。この祭りで村は一つになります。
近年は若者が生まれた村を離れ、獅子舞を伝承する人がいなくなり、県内各地で獅子舞が存続の危機にあります。

そんな中、七分一には獅子舞を伝承する人がいる。七分一には獅子舞がある。


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