アナウンサー・キャスター / 吉村 尚郎 / BLOG

地球の音楽と出会える場所 Sukiyaki Meets The world 2006 Vol.3 ~之を知る者は之を好む者に如かず~

私を含め、新しいメンバーは6人。一日でも早くベテランメンバーに追いつけるようにと強化練習が始まりました。各パートにわかれ個別指導の開始です。何度も何度も同じフレーズを繰り返し体に覚えさせていきます。知る喜び・奏でる楽しさを覚えると練習もスムーズ。次から次へと・・2日で1曲を覚えるペース!!もう、頭のなかは♪でいっぱい。食事をしていても、通勤途中でも気づくと鼻歌をうたっているんです。覚える事、演奏することが楽しくて楽しくて仕方ありませんでした。
しかし練習開始から2週間―。
3曲目に取り掛かりはじめた頃、復習のため最初に覚えたHOT×3という曲を弾いてみることに・・・。
「1度覚え込んだはずなのに・・・。」一気に詰め込んだ曲、そう、下に流れ出なくなった砂時計のように時の流れが止まり、ただただ茫然と立ち尽くすだけ・・・。せっかく教えていただいた曲を忘れてしまっている自分を何度も責めました。そしてちょうどこの頃からリズムで音を奏でる事を忘れ、他のメンバーの足を引っ張ることだけはできないというプレッシャーにかられながら練習している自分がいました。




覚えの早い人、なかなか先に進めない人(当然私は後者・・)。
水曜日のパート練習に金曜日の全体練習・・・。この2日間では、もうどうにもならない・・。下手は下手なりに努力でカバーしなければ!!先輩メンバーに無理を言っての土曜日特訓開始。集中力を高め何度も何度も同じフレーズを繰り返し叩き込んでいきました。
少しずつ少しずつ・・ようやく1曲を覚えた頃、もう一つの試練が、「先輩と奏でる音が違うっ!」。
同じ場所、同じ音を叩いているにも関わらず・・違う音に聞こえるんです!
原因は直ぐにわかりました。それは左手で叩く音、右利きの私は左手で叩く力が右に比べ極端に弱く、スティックを押さえ込んでしまうため、鈍い音に聞こえていたんです。解決法はただひたすら素振り!素振りといっても壁や机の上をひたすら叩き、手首を強化!会社や家などで暇を見つけては取り組むようになりました。地味な練習ですが、これこそがスティールドラムの綺麗な音色を作り出す原点でもあるんです。
これが出来るようになるにつれ、心に張り付いていたもやが少しづつとれてくるのを感じました。
之を知る者は之を好む者に如かず。
之を好む者は之を楽しむ者に如かず。
孔子

「孔子曰く、物事への関わりは、知・好・楽を経て深まり、自由になる」

本番まであと1ヵ月半―。

地球の音楽と出会える場所 Sukiyaki Meets The world 2006 Vol.2 ~20世紀最後のアコースティック楽器・スティールドラム~

斯して始まった、スキヤキミーツザワールド2006への道!
私がメンバーのもとに向ったのは6月10日、何か新しい場所へと足を踏み入れるときは決まって期待よりも不安が募るもの・・・。
練習場(パンヤード)は福野小学校の直ぐ隣にある今となっては使われなくなった旧福野児童会館、目の前が小さな公園になっているんですが、子供たちの楽しく遊ぶ声が聞こえてこない分、やけに寂しさも感じるような所なんです。そんな場所から変わって聞こえてくるのは、スティールドラムの明るく軽快なリズム♪

スティールドラムで埋め尽くされた練習場、軋む扉を開けて部屋へと足を踏み入れた私、陽気なリズムが止みメンバーの視線が私のもとへ、そして一瞬にして静寂が・・。
「宜しくお願いします!!」
迎えてくれたメンバーは私の不安など直ぐに払拭してくれました。カリブの音楽と同じ、そう陽気で気さくで、それでいて表情からにじみ出る音楽に対する真っ直ぐな気持ち!
メンバーは県内に住む男女30人、創立以来のメンバーから新人、年齢も70歳から下は高校生、公務員に介護士に建築士と様々なんです。
そんなメンバーとの挨拶をほどほどに、先ずは挨拶にと演奏を・・!!生で聴くスティールドラムの音色は、それはそれは、到底言葉では言い表せられないもの、あえていうのなら、心の奥底に隠れていた『子供の頃、裏山に友達とダンボール箱で「基地」を作り遊んでいた頃の気持ち』それがこみ上げてくる感情を覚えました。




8月25日~27日の【スキヤキミーツザワールド】まで2ヶ月あまりと時間もないことからすぐさま練習開始!!っとその前に、皆さんはこのスティールドラムという楽器をごぞんじですか?!




この楽器が誕生したのは、日本から遠く離れた中南米カリブ海に浮かぶ島、トリニダード・トバゴ。
(面積は5130平方メートルと千葉県とほぼ同じ大きさ首都はポートオブスペイン、1498年7月31日にコロンブスによって発見された島国です。)
18世紀後半にフランス・イギリス・オランダなどの植民地支配をうけ、支配者層への抵抗そして
日々の苦しい生活の中、かすかな心の希望の光としてこのスティールドラムが作られてきた背景があり、
当初は鍋の蓋や、ゴミ箱の蓋を叩き演奏していたそうです。その後第二次世界大戦前後から発達し、比較的歴史は浅く、電気的な細工が一切ないことなどから「20世紀最後のアコースティック楽器」と言われています。
現在、毎年2月に行われるカーニバルでは欠かせない楽器となり100人編成のスティールドラムの演奏は圧巻だとか!!(一度見てみたい♪)
そして実はこの不思議な形をした楽器、その名の通りドラム缶から作られているんです!





ドラム缶の底をハンマーで叩いて先ずは月のクレーターのように丸くへこませていきます、そこにいくつもカメの甲羅のような凹凸をつけ作り上げていくもの、この面が小さければ小さいほど高い音、大きければ低い音がでるというのが原理。因みに一番高温のパートシングルテナーは1個のドラムから2オクターブを超える音階が出るんです。低音のパートになるにつれ、ドラム1個あたりの音が減ってくるのでベースに至ってはドラム缶6本を自分の周りに置いて演奏するんことになるんです。また、一つの面だけを叩いても周りの面が共鳴するため、となりが和音になるように配列されていていて、それゆえピアノの鍵盤のようにドレミファが順番に並んでいません・・・トホホ。
そしてあの美しく優しい音色は倍音によるもの(一つの音が複数の音で構成される)スティールドラムの魅力ともいえます。
この楽器当然大量生産できず、一つ一つ手作りの為、それぞれに違った表情を見せてくれるのも楽しみの一つ。ちなみに個人で購入する場合、輸入しなければならずなんと1台20万もするとか?!



私の演奏するパートは、シングルテナー、メロディーラインを担当することになりました。
その他、メロディーラインの低音をカバーするダブルテナーに、テナーのバックで和音を奏で時に低音部分でメロディーを担当するダブルセコンド、2つのスティールドラムを使い主にコードを演奏するダブルギター、ベースラインのサポートし曲に深みを加えるチェロ、ドラム缶そのままの形をしたベースなどがあります。
いよいよ憧れのスティールドラムとご対面、スティックを手にいざっ!ピン♪ポロロン♪意気込みだけはよかったんですが・・。不揃いな音階にはじめて触れる楽器、なにがなんだ全く分からないんです!!
にらめっこすること10分―。
同じパートでチームを引っ張る倉田英路マネージャーが一言「悩んでてもしょうがない!本番に向けて曲を覚えていこう!リズムで、体で覚えていかなきゃ!」見よう見まねでドラムを叩く私。
このドラム、木琴や鉄琴のように平面ではなく内側に手を入れ込む形になるため、単純に音を出すだけでも難しいんですよ!!おまけに楽譜もなく、音を確かめながらの暗記。次から次に頭の中に詰め込むまさに受験勉強のようなかんじです。唯一の救いが軽快なリズム、音を感じながら演奏するとスムーズに覚えることができるんです。正直「この調子なら本番まで2ヶ月、ステージで演奏する5曲6曲はできる!」と感じました。


そう、この時はステージで演奏することの難しさを知る由もありませんでした・・・。

地球の音楽と出会える場所 Sukiyaki Meets The world 2006 Vol.1 ~スキヤキ・スティール・オーケストラとの出会い~

皆さんは「スキヤキミーツザワールド」というイベントをご存知ですか?
夏、福野の町を熱気の渦で包み込む大イベント!アジアやアフリカ、中南米からアーティストが集まり、普段目にすることができない民族楽器や伝統音楽などのコンサートさらにはワークショップ等、様々なイベントを通し世界の音楽と触れ合う、まさにワールドミュージックの祭典です。
1991年に第一回目が行われ、好評の中今年で16回目を迎えることとなりました。



今年の「スキヤキミーツザワールド2006」は、8月25日(金)26日(土)27日(日)の3日間、富山県南砺市福野、円形劇場ヘリオス周辺で行われます。
25日の初日は、フリーマーケットをはじめ夜10時からは、クラブナイトと題し「やちむん」「山崎雄弘」によるライブイベント。
2日目の26日には、アルゼンチンの料理を学ぶ料理教室や県内外の民族楽器のチームが勢揃いしパフォーマンスを繰り広げ、さらに体験コーナーなど内容も充実。
夕方6時からは、「ア・ミューdeナイト」と題し、地元福野を中心に活躍するスキヤキスティールオーケストラ・サラマレクム・グイギ・ヴァイナログなど心弾むコンサートからも目が離せません!
最終日の27日も終日、普段目にすることができない異国の伝統・民族楽器との触れ合いをテーマにイベントが行われます。 注目は、午後2時から円形劇場ヘリオスで行われるコンサート。
日本とヨーロッパで活躍する日亜混成バンド「ガイアクアトロ」をはじめ、アメリカ、ヨーロッパツアーを成功させ、世界から注目を集めるアフリカカメルーンの「エリク・アリアー&コロンゴジャム」など、ワールドミュージックを体感できる絶好のチャンス!
3日間まさに福野の町に音のシャワーが降り注ぐイベントです。皆さんも是非遊びに行ってみてください♪
そんな、盛大なイベント中でも、毎年コンサートで一際熱い声援を受けるアーティスト。それが11年前に、まさにこのスキヤキミーツザワールドから生まれた「スキヤキ スティール オーケストラ」の皆さんです。

中南米カリブ海に浮かぶ島トリニダード・トバゴで生まれた民族楽器スティールドラムを使い奏でる軽快な曲とステージパフォーマンスは、見るものの心を魅了するだけではなく、見るものに「心から湧き上がるような勇気と力」を与えてくれます。
私は、そんな彼らが2000年にリリースしたCD「オン・ザ・ロード」と出会い、心を奪われたことはいうまでもなく、次の瞬間には「彼等と一緒に自分も演奏したい」押さえ切れない気持ちがこみ上げ、そして私の足は自然と彼らの元へと向っていました・・・


CD:「ON THE ROAD」 Sukiyaki Steel Orchestra

スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド実行委員会事務局
TEL:0763-22-1125
HP:http://www.sukiyaki.cc/

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吉村 尚郎 yoshimura takao

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