アナウンサー・キャスター / 吉村 尚郎 / BLOG

地球の音楽と出会える場所 Sukiyaki Meets The world 2006 Vol.2 ~20世紀最後のアコースティック楽器・スティールドラム~

斯して始まった、スキヤキミーツザワールド2006への道!
私がメンバーのもとに向ったのは6月10日、何か新しい場所へと足を踏み入れるときは決まって期待よりも不安が募るもの・・・。
練習場(パンヤード)は福野小学校の直ぐ隣にある今となっては使われなくなった旧福野児童会館、目の前が小さな公園になっているんですが、子供たちの楽しく遊ぶ声が聞こえてこない分、やけに寂しさも感じるような所なんです。そんな場所から変わって聞こえてくるのは、スティールドラムの明るく軽快なリズム♪

スティールドラムで埋め尽くされた練習場、軋む扉を開けて部屋へと足を踏み入れた私、陽気なリズムが止みメンバーの視線が私のもとへ、そして一瞬にして静寂が・・。
「宜しくお願いします!!」
迎えてくれたメンバーは私の不安など直ぐに払拭してくれました。カリブの音楽と同じ、そう陽気で気さくで、それでいて表情からにじみ出る音楽に対する真っ直ぐな気持ち!
メンバーは県内に住む男女30人、創立以来のメンバーから新人、年齢も70歳から下は高校生、公務員に介護士に建築士と様々なんです。
そんなメンバーとの挨拶をほどほどに、先ずは挨拶にと演奏を・・!!生で聴くスティールドラムの音色は、それはそれは、到底言葉では言い表せられないもの、あえていうのなら、心の奥底に隠れていた『子供の頃、裏山に友達とダンボール箱で「基地」を作り遊んでいた頃の気持ち』それがこみ上げてくる感情を覚えました。




8月25日~27日の【スキヤキミーツザワールド】まで2ヶ月あまりと時間もないことからすぐさま練習開始!!っとその前に、皆さんはこのスティールドラムという楽器をごぞんじですか?!




この楽器が誕生したのは、日本から遠く離れた中南米カリブ海に浮かぶ島、トリニダード・トバゴ。
(面積は5130平方メートルと千葉県とほぼ同じ大きさ首都はポートオブスペイン、1498年7月31日にコロンブスによって発見された島国です。)
18世紀後半にフランス・イギリス・オランダなどの植民地支配をうけ、支配者層への抵抗そして
日々の苦しい生活の中、かすかな心の希望の光としてこのスティールドラムが作られてきた背景があり、
当初は鍋の蓋や、ゴミ箱の蓋を叩き演奏していたそうです。その後第二次世界大戦前後から発達し、比較的歴史は浅く、電気的な細工が一切ないことなどから「20世紀最後のアコースティック楽器」と言われています。
現在、毎年2月に行われるカーニバルでは欠かせない楽器となり100人編成のスティールドラムの演奏は圧巻だとか!!(一度見てみたい♪)
そして実はこの不思議な形をした楽器、その名の通りドラム缶から作られているんです!





ドラム缶の底をハンマーで叩いて先ずは月のクレーターのように丸くへこませていきます、そこにいくつもカメの甲羅のような凹凸をつけ作り上げていくもの、この面が小さければ小さいほど高い音、大きければ低い音がでるというのが原理。因みに一番高温のパートシングルテナーは1個のドラムから2オクターブを超える音階が出るんです。低音のパートになるにつれ、ドラム1個あたりの音が減ってくるのでベースに至ってはドラム缶6本を自分の周りに置いて演奏するんことになるんです。また、一つの面だけを叩いても周りの面が共鳴するため、となりが和音になるように配列されていていて、それゆえピアノの鍵盤のようにドレミファが順番に並んでいません・・・トホホ。
そしてあの美しく優しい音色は倍音によるもの(一つの音が複数の音で構成される)スティールドラムの魅力ともいえます。
この楽器当然大量生産できず、一つ一つ手作りの為、それぞれに違った表情を見せてくれるのも楽しみの一つ。ちなみに個人で購入する場合、輸入しなければならずなんと1台20万もするとか?!



私の演奏するパートは、シングルテナー、メロディーラインを担当することになりました。
その他、メロディーラインの低音をカバーするダブルテナーに、テナーのバックで和音を奏で時に低音部分でメロディーを担当するダブルセコンド、2つのスティールドラムを使い主にコードを演奏するダブルギター、ベースラインのサポートし曲に深みを加えるチェロ、ドラム缶そのままの形をしたベースなどがあります。
いよいよ憧れのスティールドラムとご対面、スティックを手にいざっ!ピン♪ポロロン♪意気込みだけはよかったんですが・・。不揃いな音階にはじめて触れる楽器、なにがなんだ全く分からないんです!!
にらめっこすること10分―。
同じパートでチームを引っ張る倉田英路マネージャーが一言「悩んでてもしょうがない!本番に向けて曲を覚えていこう!リズムで、体で覚えていかなきゃ!」見よう見まねでドラムを叩く私。
このドラム、木琴や鉄琴のように平面ではなく内側に手を入れ込む形になるため、単純に音を出すだけでも難しいんですよ!!おまけに楽譜もなく、音を確かめながらの暗記。次から次に頭の中に詰め込むまさに受験勉強のようなかんじです。唯一の救いが軽快なリズム、音を感じながら演奏するとスムーズに覚えることができるんです。正直「この調子なら本番まで2ヶ月、ステージで演奏する5曲6曲はできる!」と感じました。


そう、この時はステージで演奏することの難しさを知る由もありませんでした・・・。

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吉村 尚郎 yoshimura takao

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